" /> ギリシャの難民問題で学んだ「知る」大切さ 【無知な善意≒悪】

ギリシャの難民問題で学んだ「知る」大切さ 【無知な善意≒悪】

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僕は青年海外協力隊として国際協力の現場に携わっていました。でも、支援以上に、現地の課題「知る」ことが大切だと考えています。

今回は僕の国際協力とのかかわりも踏まえて、「知る」ことが重要だと考えるようになった【カンボジア】と【ギリシャ】の話をまとめます。

【カンボジア】現場を知らない国際協力って本当に意味あるの?

建て替え前の校舎 屋根も壁も穴がたくさん

僕は大学1~2年生の頃、カンボジアに教育支援を行うNPOで、カンボジアの小学校の校舎増築に関わっていました。主な仕事は校舎増築のための資金集め。街頭募金、イベントでの物販、クラウドファンディングなどが資金集めの手段です。

資金集め自体は勉強になったし、やりがいもあったのですが、徐々に迷い始めていました。

僕は学校を建設する周辺の様子を全然知りませんでした。
現地の人々が日々どんな暮らしをしているのか、
現地の子どもが学校でどんな風に過ごしているのか、
多少の情報としては知っていても、
自分は同じように見て、聞いて、経験したことはありませんでした。

自分が頑張っていることが本当に必要とされているのか確認したい。
そのために、現地に行って、現地の生活を知って、その上で現地に本当に必要とされることをしたい。だから、長く現地で活動できる青年海外協力隊に興味を持ちました。

【ギリシャ】正しく知って行動しないと、現状を悪化すらさせてしまう

青年海外協力隊になりたいと漠然と考えながら、大学3年生の頃に休学してイギリス留学をしていました。

合計8か月、3か月をイギリスで語学学校、2か月ほどを旅、3か月ほどをスコットランドで語学学校。

2016年夏の旅の2か月間、僕はギリシャへ行きました。アテネに観光地として訪れたかったという理由はありますが、僕の目的地はレスボス島でした。

美しい「観光地」としてのレスボス島

レスボス島は地中海に浮かぶ美しい島で、もともとヨーロッパからの観光客も多い場所だったそうです。

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難民の島としてのレスボス島

しかし、時は2015~16年の欧州難民危機のさなか。僕の訪問は2016年7月。

トルコが対岸に見えるレスボス島へ「EUへの入り口」として多くの難民が押し寄せているとニュースを見ました。トルコからのレスボス島までの13キロを小型ボートで渡り切れずに、亡くなった方も多い場所です。そんなニュースを見て、僕は実際にレスボス島を訪れることにしました。

ロンドンから飛行機を乗り継いで到着したレスボス島。対岸にうっすら見えるトルコはミティリニ海峡をはさんで13キロの距離だ。人口8万6000人、面積は1633平方キロメートルで沖縄本島(1207平方キロメートル)より大きい。オリーブなど農業、漁業、観光業が主な産業だが、2015~16年の欧州難民危機では島全体の人口の約7倍に相当する難民が押し寄せ、観光業が大きな打撃を受けた。

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/9348
うっすら見える対岸はトルコ

僕はレスボス島で難民の痕跡をたくさん見つけます。

海岸沿いに無数にあった折り鶴
ボロボロのボートとライフジャケット
さびたボートのエンジン

しかし、僕が難民を直接見ることは全くありませんでした。いろいろと疑問を持った僕に、レスボス島で宿泊したホテルのオーナーが話してくれました。

オーナーの話 「難民支援団体が悪いんだ」

・中東の紛争で難民となる人がたくさん残念に思う。それに対してギリシャは自分たちが経済危機にある中、どんな国よりも難民を多く助けた。

・難民支援団体はトルコの密輸人(トルコからギリシャへ難民を運ぶ人)に難民が安全に海を渡れるようにサインを送っていた。難民の安全のためとはいえ、それがレスボス島への難民の流入を加速させた原因のひとつだ。

・レスボス島のほぼ100%の住民が観光に携わっている。しかし、難民が来ていることで観光業に大きな影響が出ている。難民の大流入以前の2014年と比べると、ヨーロッパからの観光客が80%も減った。レスボス島の中で仕事がなくて、ほかに島に出稼ぎに行かなくてはならない。もし同じ状況が続いていれば、自分たちが難民になってしまう。

・難民支援団体の最大の罪は観光への影響だ。2016年1月以降、新しい難民はレスボス島には来ていない。それなのに、現在(2016年7月)でも難民がレスボス島にどんどん来ているように写真をアップロードし続けている。そして手に入れた寄付を自分たちの金にしている。難民支援団体のせいでレスボス島に難民の流入が続いていると勘違いされ、観光客が戻らない。

・自分も難民支援団体に寄付しようとかと考えたが、彼らがレスボス島でもっとも高価なホテルに泊まっているのを見て寄付をやめた。

「無知な善意は悪にすらなる」

僕はオーナーの話に衝撃を受けていました。
レスボス島に難民が来ていると思ったのに、すでに難民の流入が止まっていたこと。
難民をネタにぜいたくな暮らしをしている支援団体がいること。

もっともショックだったのは、間接的に「寄付」という善意がレスボス島の観光業にダメージを与えていること。

多くの人が「難民=かわいそう」と感じて善意で行う「寄付」が支援団体のエネルギーとなり、支援団体がより大々的に「レスボス島に難民が来ている」と情報を流し続け、レスボス島の観光業がダメージを受け続けていました。

正しく現状を知らないで行った「善意」は状況を悪化させる「悪」にすらなると学びました。そして正しい現地の状況を知ることは、より精度の高い支援のためには必要不可欠なものだと考えるようになりました。

まとめ

レスボス島の風景

僕は国際協力に関わり、その後にギリシャで「知ること」は大切だと学びました。青年海外協力隊として現地で活動した後となった今振り返っても、非常に学びが多かった体験だと感じます。

今回は国際協力をテーマに「知ること」の重要性を書きましたが、日本でも海外でも、一般的仕事をする上でも、まず現状を「知る」のは大切です。しかし、十分に知らないままで行動を組み立ててしまいがちです。

みなさんも「知ること」の重要性を改めて考えるきっかけとなると共に、国際協力に少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
あなたにとってよい一日でありますように。

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