" /> 発展途上国でスポーツなんて必要なの?僕が考えるスポーツによる国際協力の意義

発展途上国でスポーツなんて必要なの?僕が考えるスポーツによる国際協力の意義

国際協力全般

僕は青年海外協力隊として卓球の指導に携わっていました。

しかし、こんな風に思う方もいるのではないでしょうか。

「世界には食べ物がなくて飢えに苦しむ人や医療が不十分で命を落とす人がたくさんいる。発展途上国でスポーツなんてわざわざやる必要あるの?」

特にウクライナ情勢が頻繁に報道される現在では、スポーツなんて意味がなくて命や生活を保障するための支援の必要性を強く感じる人も多いでしょう。僕自身も葛藤はありますが、「スポーツによる国際協力は意義がある」と信じて「卓球」と通した国際協力を選択しました。

今回は僕が考えるスポーツによる国際協力の意味をまとめていきます。スポーツ分野の国際協力に関心がある人の背中を押せたら嬉しいです。

スポーツは人をつなぐ

Photo by Giang Vu on Unsplash

スポーツをするときに、プレーヤーは対等です。体格差や実力差はあれど、ルールも平等です。スポーツは年齢、性別を関係なく楽しむことができます。国籍、人種、言語の差があっても、ルールを理解してプレーを始めれば楽しむのみ。

特に卓球は障害のある方でも一緒にプレーができます。車いすでも、聴覚障害でも、知的障害でも、関係ない。プレーできる層がとても広いです。視覚障害の方がプレーするサウンドテーブルテニスという競技もあれば、さらにインクルーシブなスポーツの卓球バレーもあります。卓球の用具を活用し、心身の健康の維持・向上・予防を図る卓球療法も存在します。

実はフィジーでは(練習環境やコーチの不足など仕方なくの側面も強いですが)日本よりはるかに卓球においてはインクルーシブな環境でした。車いすの選手が当然のように健常者と同じ空間で練習し、車いすの選手が健常のジュニア選手を指導していました。ナショナルチームの男子選手は聴覚障害を持っていました。

また、リハビリ病棟や精神病院にも卓球があり、患者さんが取り組む機会もあったそうです。フィジーで卓球療法なんて概念はないですが、自然とそれに近いことが行われていたのです。

日本人の健常者の僕が、フィジーでフィジー人の聴覚障害を持つ選手と、対等に卓球をする。間違いなく、卓球がなければ出会うことはなかったでしょう。そこには、とても自然な「インクルーシブ」が存在していました。

卓球は、スポーツは、様々な垣根を越えて、人を結びつけてくれるのが魅力だと感じています。

スポーツは目標であり、夢になる

フィジーにはオセアニア地域代表の座を勝ち取り、リオオリンピックに出場を果たした女性の選手がいます。その成績が認められて、日本の高校で卓球をするために留学しました。

僕が日本で彼女に初めて会ったのは、彼女が高校3年生の時です。「高校を卒業したらどうするの?」と聞いたら、「せっかく卓球を頑張ってきたし、日本で卓球をやりつづけたい」と言っていました。

僕は新型コロナウィルスの影響でフィジーの卓球の現場から離れてしまいましたが、彼女は東京オリンピックにも出場しました。

スポーツを通して人は目標や夢を持ち、人生を変えてくれる力があります。スポーツは命をつなぐためには不要ですが、豊かに生きるために大きな意義があると信じています。

スポーツが好きで得意なら、スポーツで人の役に立てばいい

3つ目はとても個人的な想いです。僕は大学生の頃にカンボジアで教育支援に携わっていました。でも、現地の様子が見えずに資金調達をしている状況にモチベーションを保てなくなってきました。

もっと現地の入り込んで、現地に住んで、本当に役に立つことをしたいと考え、青年海外協力隊に興味を持ちました。青年海外協力隊の職種を見ていると、「卓球」を見つけました。大学生の頃、僕は障害のある方向けに卓球の指導に関わっていました。青年海外協力ならば、「現地に行きたい」&「自分が好き卓球」の両方を叶えることができると、自分にとっての最適解を見つけた気がしました。

その後も、ジャーナリストになりたいと思ったり、大学で紛争解決について学んでみたり、様々なことに興味を持ちました。それでも、「卓球」を選びました。

世界にも日本にも山ほどの社会課題があって、苦しんでいる人は数えきれません。世界にとって何が最も必要な支援かどうかなんて判断なんてできません。だからこそ、僕は自分が興味を持って楽しめる分野を選びました。自分にできることをすればいいと、僕は思いました。

スポーツによる支援に興味があるけれど、「もっとやらないといけない支援があるのでは…」と悩んでいる人がいるならば、ぜひ挑戦してほしいです。

スポーツに限ったことではないですが、自分が好きで得意なことを必要としている場所が必ずあります。あなたがぜひ興味を持った分野に飛び込んでみてほしいです。

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