" /> 【青年海外協力隊】フィジー卓球隊員の感じた課題(普及活動編)

【青年海外協力隊】フィジー卓球隊員の感じた課題(普及活動編)

JICA海外協力隊

フィジー卓球隊員の感じた課題(普及活動編)

今回はフィジーでの活動で感じた課題をまとめます。
青年海外協力隊の現場をより身近に感じてもらえると嬉しいです。

フィジー卓球協会(以下、卓球協会)では小学校やコミュニティーへ訪問指導をする「普及」と有望なジュニア選手やナショナルチーム選手への競技レベル向上を目指す「強化」に取り組んでいました。

今回は「普及」の課題について、
次回は「強化」の課題について、
その次に課題を解決するために実行したことについて、
書いていきます。

※フィジーの経済状況や民族的な特徴などは大きい観点は無視して具体的な現場からの視点で書きました。

※日本とフィジーでは価値観が大きく違います。現地の価値観を理解し、寄り添いながら活動していくのが支援です。現地の現状を批判するために、このnoteを書いているのではありません。みなさんならどうやって現状と向き合って改善していくか考えながら読んでもらえると嬉しいです!

①普及するための訪問指導が少ない

画像1

卓球協会は新しい選手を見つけて育てていくためにも学校やコミュニティーへ訪問して卓球指導をする普及活動が重要だと考えています。しかし、最近では卓球協会の練習に来る子供は増えるどころか減っているそうです。

理由①:ディベロップメントオフィサーが少ない

ディベロップメントオフィサーとは普及活動を行う卓球協会の役職です。ディベロップメントオフィサーがフィジー全土の普及活動を担当します。
卓球協会のディベロップメントオフィサーは実質1名です。(本当は4名いるが実働は1名。)僕を含めて2名でした。フィジーの国土は日本の四国ほどで約330の島々で構成されています。なかなか広い上にアクセスが良くない場所も多いので移動は大変です。実際に活動できた範囲は首都スバのみでした。

卓球協会がディベロップメントオフィサー・コーチの養成講座を実施し、多くの人が参加したこともあるそうです。しかし、卓球協会で働く人は増えませんでした。

卓球に関心があっても卓球協会の賃金が高くないため、仕事としては選ばれなかったと、僕は協会メンバーの話を聞いて思いました。

理由②:公立学校への訪問指導ができない

フィジーは公立の教育機関へ外部の指導者が入るのに政府機関が発行する特別なライセンスが必要です。審査基準が厳しく、卓球協会のディベロップメントオフィサーですら取得できていませんでした。
(卓球に限らず、他のスポーツに対しても審査が厳しいです。)

理由③:新しい場所を訪問する開拓がない

卓球協会のディベロップメントオフィサーは女性で4~5年ほど働いています。既存の訪問先で手一杯なこと、フィジーは男性が強い社会で彼女だけでは活動しにくいことなど理由はありますが、新規開拓が行われていないようでした。結果として、新しい選手は増えないどころか、ジュニア選手、ナショナルチーム選手の半分以上が卓球協会メンバーの親戚になってしまいました…。

②訪問指導で興味を持った人が卓球協会の練習会に来ない

画像2

訪問指導で卓球に興味を持った子どもがいても、なかなか練習場には来てくれません。その理由を見ていきましょう。

理由①:練習会の情報が公開されていない

卓球協会のメインサイトはFacebookです。しかし、卓球協会の練習場所・日程はFacebookには公開されていません。練習の予定が変更になったときも招待されないと入れないMessengerのグループで連絡があります。外部の人は練習の有無すらわからないため練習の参加人数は伸びませんでした。

理由②:練習に参加したくても練習参加料が払えない

フィジーは金銭的には裕福な国ではありません。1回の練習参加料は日本円で100円です。それでも払えない家庭は多いです。卓球協会としては、どんな子どもにも卓球を楽しんでほしいと考えています。しかし、卓球協会も練習場をお金を払って借りています。全員の参加料を無料にすると卓球協会は赤字です。難しい問題です。

③卓球協会の練習会に継続して参加してもらえない

画像3

せっかく練習に来てくれた子どもが練習を楽しめず、練習の参加をやめてしまうケースは多いです。なぜでしょうか。

理由①:練習がスタートできない

日本の価値観では考えられませんが、予定通りには予定通りにはスタートできません。

まず、卓球協会は練習場を17時から予約していますが、18時になっても練習場の警備員がカギを開けてくれず、練習をスタートできないことがありました。

そして、ディベロップメントオフィサーとしても活動する女性コーチ。彼女は練習を遅刻、無断欠席することが多かったです。卓球場に安全に用具を置けないのでネット、サポーター、初心者用ラケットなどの卓球用具は彼女が持ち歩いています。せかっく来てくれた子どもたちは彼女が来ないと練習ができません。僕がいないときには、1時間ほど待ってもコーチが来ないために諦めて帰った子どももいたそうです。

仕事が多いのに給料が低いこと、彼女の家庭の事情などもあり、彼女だけを責めるつもりはありませんが、非常に子どもたちにとっては気の毒な現状です。

理由②:子どもが楽しそうに練習していない

初心者、ジュニアの選手はコーチがいる台に並んでミスしたら交代するスタイルが定着していました。卓球台が4台あってもコーチが1人の時は1台しか使っていませんでした。当たり前ですが、初心者の子どもはミスが多いので球拾いばかりです。子ども同士で自由に打ってもらう時間や試合をする時間を長くして、子どもが楽しめる練習に変えていくべきだっと僕は考えています。

まとめ

フィジーで卓球を普及する上でぶつかった課題をまとめました。次回はフィジー卓球の競技レベルを向上する「強化」の課題についてまとめます!

最後までご覧くださりありがとうございました。

※以下は2020年7月17日にnoteに書いていた記事のリライトです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました