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【JICA海外協力隊記録①】フィジー・卓球隊員から見た現地の課題(普及活動編)

JICA海外協力隊

私がJICA海外協力隊・卓球隊員としてフィジーで活動した時の様子をお伝えします。

私が配属されたフィジー卓球協会(以下、卓球協会)では小学校やコミュニティーに訪問指導をする「普及活動」と有望なジュニア選手やナショナルチーム選手への競技レベル向上を目指す「強化育成」に取り組んでいました。

今回の①では「普及活動」の課題、②では「強化」の課題、③では課題解決のために実行した・したかった事を書いていきます。

前提:JICA海外協力隊って何?

JICAボランティア事業は日本政府のODA予算により、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する事業です。開発途上国からの要請(ニーズ)に基づき、それに見合った技術・知識・経験を持ち、「開発途上国の人々のために生かしたい」と望む方を募集し、選考、訓練を経て派遣します。
その主な目的は、以下の3つです。
(1)開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与
(2)異文化社会における相互理解の深化と共生
(3)ボランティア経験の社会還元
なかでも、青年海外協力隊は事業発足から50年以上という長い歴史を持ち、これまでにのべ4万人を超える方々が参加しています。
https://www.jica.go.jp/volunteer/outline/

JICA海外協力隊には、190以上の職種があり、以下の9つの分野に分けられています。ご自分の経験に類似する分野・職種を確認しましょう。

シゴトを知る
私たちは、日本と開発途上国の人々をむすぶ架け橋として、互いの知識や経験を活かした協力をすすめ、平和で豊かな世界の実現をめざします。

ちなみに、私のJICA海外協力隊での職種「卓球」は人的資源の1つです。

前提:フィジーってどこ?

UnsplashMaxが撮影した写真

フィジーは南太平洋に浮かぶ島国です。国土は日本の四国ほどでの大きさで、大小330の島々で構成されています。とても海がきれいで、リゾード地として有名です。私が住んでいたのは首都のスバ。ショッピングモールや映画館もあり、生活に困ることはありませんでした。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/fiji/data.html

ラグビーが国民的スポーツであり、世界的にも強い国です。卓球はフィジーの中では非常にマイナースポーツで、卓球の認知はされていましたが、競技人口はかなり少なかったです。日本では卓球台が学校、体育館、児童館などに普通に置いてありますが、卓球ができる場所は非常に限られています。ほとんどの学校では、卓球台なしで卓球をしていました。

【課題①】普及するための訪問指導が少ない

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卓球協会は新しい選手を見つけて育てていくために、学校やコミュニティーへ訪問して卓球指導をする普及活動が重要だと考えていました。しかし、卓球協会の練習に参加する選手は増加するどころか、減少していました。

普及担当者が1名しかいない

ディベロップメントオフィサーとは普及活動を行う卓球協会の役職です。当時、卓球協会のディベロップメントオフィサーは実質1名、私を含めて2名でした。私が住んでいた首都スバ近辺の普及活動、訪問指導でも十分とは言えない状況でした。

また、かつてのフィジーでは、公立学校でも訪問して卓球指導ができたそうですが、外部指導者が公立学校に入るのに政府機関が発行する特別なライセンスが必要になってしまっていました。ライセンス発行の審査基準が厳しく、私はもちろん、現地ディベロップメントオフィサーですら取得できていませんでした。

現地のディベロップメントオフィサーは既存の訪問先ですでに手一杯であり、訪問先も限られ、新規開拓が行われていないようでした。

過去には卓球協会がディベロップメントオフィサーを増やすため、養成講座を実施したこともあったそうですが、卓球協会で働く人は増えませんでした。卓球協会の予算は十分ではなく、ディベロップメントオフィサーの賃金が高くないため、定着しなかったそうです。

②卓球をしたくても練習会に参加できない

Image by Sergii Koviarov from Pixabay

せっかく訪問指導に行き、卓球をしたい子どもがいても、日本のように体育館や児童館に卓球台はないので、卓球をするためには卓球協会が実施する練習会に参加するしかありません。しかし、卓球をしたい子どもも、練習会にはなかなか来てくれません。その理由を見ていきましょう。

理由①:練習会の情報が公開されていない

卓球協会のメインサイトはFacebookでしたが、卓球協会の練習場所・日程はFacebookには公開されていません。練習予定は、クローズのMessengerのグループで連絡があります。当然ながら、訪問指導で関心を持った子どもたちは練習会の情報にアクセスできないので、練習の参加人数は伸びませんでした。

理由②:練習に参加したくても練習参加料が払えない

フィジーは中所得国に分類され、世界的には非常に貧しい国ではありません。
https://www.jica.go.jp/Resource/activities/schemes/finance_co/about/standard/class2012.html

当時の1回の練習参加費は日本円で100円程度でした。車を持っていない家庭は、バスやタクシーの移動費もかかります。それでも負担できない家庭は多かったです。卓球協会としては、どんな子どもにも卓球を楽しんでほしいと考えていましたが、練習場をお金を払って借りていたので、子どもの参加費はゼロにはできない状況でした。

③卓球協会の練習会に継続して参加してもらえない

せっかく練習会に参加してくれた子どもでも、継続的に参加してもらうことは難しい状況でした。

練習を開始できず、子どもを長時間待たせる

日本では考えられませんが、練習を予定通り開始できず、子どもを長時間待たせることがよく発生していました。

まず、卓球協会は練習場を17時から予約していますが、18時になっても練習場の警備員がカギを開けてくれず、練習を開始できないことがありました。

そして、倉庫も共有施設で貴重な用具を安全に置いておけず、ディベロップメントオフィサーがネット、サポーター、初心者用ラケットなどの卓球用具を持参するのですが、肝心のディベロップメントオフィサーが練習を遅刻、無断欠席も少なくありませんでした。ディベロップメントオフィサーと用具がないため、せっかく練習場に来た子どもが何もできずに帰ってしまったこともあったようです。

捕捉しますと、フィジーは非常にのんびりした国民性で、遅刻は全く珍しくありません。そのため、ディベロップメントオフィサーだけが悪いわけでもなく、子どもをたちがディベロップメントオフィサーの状況をどのように捉えていたのかは不明です。また、ディベロップメントオフィサーは給料が低いのに仕事がとても多いこと、家庭の事情などもあり、大変そうな状況でもありました。
https://fijianwalker.com/fijitime

ただ、せっかく卓球がしたくて練習会に来てくれたのに、卓球ができないまま帰してしまうのは、非常にもったいないですし、子どもにも申し訳ないです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

皆さんがJICA海外協力隊やフィジーの様子を少しでも想像していただければ嬉しいです。

最後までご覧くださりありがとうございました。

今日も皆さんにとってよい一日でありますように。

※私が活動していた2020年当時の情報です。また、私は新型コロナウィルスの影響で2か月しか活動できなったので、現地の様子も深く理解することはできませんでした。短い期間で私個人が感じた情報です。

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