はじめに
「Shaping the Future through Table Tennis」は、アフリカ南東部マラウイで2024年に始まった社会貢献プロジェクトです。ITTF FoundationのDream Building Fundによる支援を受け、都市ブランタイヤのリムベ地区にあるMpingwe Sports Clubを拠点に展開されています。
このプロジェクトは、現地団体「Promoting Life-Time Activities for the Youth(PLAY)」によって運営されており、卓球という身近なスポーツを通じて若者たちに教育、健康、社会的スキルを提供しています。特に、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH*)とHIV/AIDSに関する啓発活動を重視しており、若者が自身の身体と未来を守るための知識と行動力を育むことに力を入れています。
情報源: ITTF Foundation – Shaping the Future through Table Tennis, Malawi
*SRH:Sexual and Reproductive Health、性的および生殖に関する健康)とは、人が「性」や「子どもを産むこと」に関して安全で、健康で、尊重された生活を送るために必要な知識・支援・医療環境のことを指します。
プロジェクトの詳細
この活動は、学校に通っていない若者や就業機会に恵まれない若者を対象に、週2〜3回のセッションを通じて行われています。プロジェクトの大きな柱は以下の3点です。
卓球トレーニング
- 基本的な技術の習得からチーム形式の試合まで、段階的に学びます。
- スポーツマンシップ、協力、コミュニケーション能力の向上も目的としています。
SRHおよびHIV/AIDS教育
- 思春期の身体の変化、避妊、性感染症、HIV/AIDSに関する正確な知識を提供するワークショップを開催。
- 医療や保健の専門家による対話型セッションを通じて、誤解を解消し、自尊感情を高めることを目指します。
ライフスキルと地域参加
- 自己表現、リーダーシップ、問題解決能力を育むアクティビティを実施。
- 地域の清掃活動や啓発イベントを通じて、社会とのつながりを強化。
また、このプロジェクトは「早期妊娠」「早期結婚」「学校中退」の予防を目標としており、女子の参加も積極的に促しています。ジェンダーに関係なく誰もが安心して学べる環境づくりが進められています。
マラウイという国の背景

マラウイは、モザンビーク、ザンビア、タンザニアに囲まれたアフリカ南東部の内陸国で、人口は約2,000万人(2023年、世界銀行)。公用語は英語、広く使用されている言語はチェワ語です。
若年層の割合が非常に高く、失業率や中退率も高い状況にあります。加えて、成人のHIV感染率は約8.1%と高水準で、特に若年層への包括的な性教育の不足が深刻な課題となっています。
このプロジェクトは、こうした背景に対応するモデル的な取り組みとして注目されています。
情報源:
ITTF FoundationとDream Building Fundについて
ITTF Foundationは、世界の卓球を統括する国際卓球連盟の社会貢献部門として、卓球を通じた社会変革を推進しています。教育、平和構築、ジェンダー平等、健康促進など、多様なテーマでプロジェクトを展開しています。
Dream Building Fundは、ITTF Foundationが運営する助成プログラムで、卓球を活用して社会課題に取り組む地域団体に、資金や専門知識を提供するものです。EduDrive Table Tennisもこの枠組みの一つとして支援を受けています。

おわりに
「Shaping the Future through Table Tennis」は、卓球という親しみやすいスポーツを通じて、マラウイの若者たちに健康と教育、そして自信と希望を届けています。特に、SRHとHIV/AIDSに関する正しい知識の普及は、若者が自らの未来を切り拓くための重要な一歩です。
このようなスポーツと教育を組み合わせたプロジェクトは、他国や他地域にも広がる可能性を秘めた社会変革のモデルとして、今後ますます注目されることでしょう。
情報源: ITTF Foundation – Shaping the Future through Table Tennis, Malawi
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