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【JICA海外協力隊①】フィジー卓球隊員 / 現地の課題(普及活動編)

私がJICA海外協力隊・卓球隊員としてフィジーで活動した時の様子をお伝えします。

私が配属されたフィジー卓球協会(以下、卓球協会)では小学校やコミュニティーに訪問指導をする「普及活動」と有望なジュニア選手やナショナルチーム選手への競技レベル向上を目指す「強化育成」に取り組んでいました。

今回①では「普及活動」の課題をまとめます。

*本記事の内容は2020年時点の情報です。

フィジー / ラグビーが盛んで卓球なマイナースポーツ

UnsplashMaxが撮影した写真

フィジーは南太平洋に浮かぶ島国です。国土は日本の四国ほどでの大きさで、大小330の島々で構成されています。とても海がきれいで、リゾード地として有名です。私が住んでいたのは首都のスバ。ショッピングモールや映画館もあり、生活に困ることはありませんでした。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/fiji/data.html

ラグビーが国民的スポーツであり、世界的にも強い国です。卓球はフィジーの中では非常にマイナースポーツで、卓球の認知はされていましたが、競技人口はかなり少なかったです。

日本では卓球台が学校、体育館、児童館などに普通に置いてありますが、フィジーで卓球ができる場所は非常に限られています。

【課題①】普及活動ができる指導者が足りない

卓球協会は新しい選手を見つけて育てていくために、学校やコミュニティーへ訪問して卓球指導をする普及活動が重要だと考えていました。しかし、卓球協会の練習に参加する選手は増加するどころか、減少していたように感じます。

普及担当者が1名しかいない

ディベロップメントオフィサーとは普及活動を行う卓球協会の役職です。当時、卓球協会のディベロップメントオフィサーは実質1名、私を含めて2名でした。私が住んでいた首都スバ近辺の普及活動、訪問指導でも十分とは言えない状況でした。

また、かつてのフィジーでは、公立学校でも訪問して卓球指導ができたそうですが、外部指導者が公立学校に入るのに政府機関が発行する特別なライセンスが必要になってしまっていました。ライセンス発行の審査基準が厳しく、私はもちろん、現地ディベロップメントオフィサーですら取得できていませんでした。

現地のディベロップメントオフィサーは既存の訪問先での活動で手一杯だっただけなく、ライセンスの問題もあり、新規の訪問先を開拓できていませんでした。

【課題②】卓球をしたくても練習会に参加できない

Image by Sergii Koviarov from Pixabay

せっかく訪問指導に行き、卓球をしたい子どもがいても、日本のように体育館や児童館に卓球台はないので、卓球をするためには卓球協会が実施する練習会に参加するしかありません。しかし、卓球に関心を持った子どもが練習会に参加するハードルが非常に高かったです。その理由を見ていきましょう。

理由①:練習会の情報が公開されていない

卓球協会のメインサイトはFacebookでしたが、卓球協会の練習場所・日程はFacebookには公開されていません。練習予定は、クローズのMessengerのグループで連絡がありました。当然ながら、訪問指導で関心を持った子どもたちはMessengerグループで案内される練習会の情報にアクセスできないので、練習の参加人数は伸びませんでした。

理由②:練習に参加したくても練習参加料が払えない

フィジーは中所得国に分類され、世界的には非常に貧しい国ではありません。
https://www.jica.go.jp/Resource/activities/schemes/finance_co/about/standard/class2012.html

当時の1回の練習参加費は日本円で100円程度でした。それでも負担できない家庭は多かったようです。卓球協会としては、どんな子どもにも卓球を楽しんでほしいと考えていましたが、練習場は卓球協会の持ち物ではなく、毎回お金を払って借りていたので、子どもの参加費をゼロにすることはできないようでした。

【課題③】継続して参加してもらえない

せっかく練習会に参加してくれた子どもでも、継続的に参加してもらうことは難しい状況でした。

予定の時間に練習を開始できず、子どもを長時間待たせる

日本では考えられませんが、練習を予定通り開始できず、子どもを長時間待たせることがよく発生していました。

まず、卓球協会は練習場を17時から使用できるように予約していますが、18時になっても練習場の警備員がカギを開けてくれず、練習を開始できないことがありました。

練習場に用具がない

倉庫も共有施設で貴重な用具を安全に置いておけず、ディベロップメントオフィサーがネット、サポーター、初心者用ラケットなどの卓球用具を持参するのですが、肝心のディベロップメントオフィサーが練習に遅刻することもありました。用具がないため、せっかく練習場に来た子どもが何もできずに帰ってしまったこともあったようです。

捕捉しますと、フィジーは非常にのんびりした国民性で、遅刻は全く珍しくありません。そのため、ディベロップメントオフィサーだけが悪いわけでもなく、子どもをたちがディベロップメントオフィサーの状況をどのように捉えていたのかは不明です。また、ディベロップメントオフィサーは給料が低いのに仕事がとても多いこと、家庭の事情などもあり、大変そうな状況でもありました。

ただ、せっかく卓球がしたくて練習会に来てくれたのに、卓球ができないまま帰してしまうのは、非常にもったいないですし、子どもにも申し訳ないと感じていました。

まとめ

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いかがでしたか。

最後まで読んでいただきありがとうございました。皆様がこの記事を通じて、卓球による国際協力、JICA海外協力隊、フィジーなどに少しでも関心を持っていただけたなら幸いです。

*本記事の内容は2020年時点の情報です。

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