本記事では、カリブ海の10か国の2025年5月時点の世界団体ランキングをもとに、カリブ海地域の卓球勢力図を紹介します。https://www.ittf.com/ittf-world-team-ranking
日本から遠く離れたカリブの国々、どのような国があるか、知らない方も多いと思いますので、ぜひご覧ください。

※以下、男子団体ランキング順に記載し、順位は(男子ランク・女子ランク)で記載。ポイント制のため世界ランクが同一の国もあります。
※各国の基本情報は日本の外務省「各国・地域情勢」ページを参照しています。https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html
- プエルトリコ(Puerto Rico)男子37位・女子18位
- キューバ(Cuba)男子38位・女子30位
- ドミニカ共和国(Dominican Republic)男子66位・女子64位
- ガイアナ(Guyana)男子87位・女子80位
- トリニダード・トバゴ(Trinidad and Tobago)男子101位・女子80位
- バルバドス(Barbados)男子101位・女子89位
- アルバ(Aruba)男子109位・女子なし
- セントルシア(Saint Lucia)男子109位・女子なし
- ジャマイカ(Jamaica)男子109位・女子なし
- セントビンセント・グレナディーン(St. Vincent and the Grenadines)男子なし・女子118位
- まとめ
プエルトリコ(Puerto Rico)男子37位・女子18位
- 人口:約320万人
- 面積:9,104km²(日本の約1/42)
- 首都:サンフアン
- 言語:スペイン語(英語も公用語)
- 宗教:キリスト教(カトリック、プロテスタント)

カリブ地域最強国の一つ。特に女子団体は世界トップ20入りを果たし、プエルトリコのエースであるアドリアナ・ディアス選手は世界的スター。姉メラニーとのダブルスも強く、団体戦では中南米でも表彰台常連。男子もブライアン・アファナドールを中心に世界で健闘中。
アドリアナ・ディアス(Adriana Díaz) – プエルトリコ卓球の象徴的存在で、世界ランク最高11位の実力者ittf.com。2016年リオ五輪で同国女子初の五輪代表となり、2019年パンアメリカン競技大会女子シングルス金メダリストen.wikipedia.org。米大陸の主要大会(パンアメリカン選手権、パンアメリカン杯など)を総なめにし、「10年に一人の逸材」と称されていますittf.com。2020年にはプエルトリコ国内で「10年の最優秀アスリート」に選出されましたittf.com。世界卓球2025でもシングルスでベスト32に入賞しています。
育成制度・連盟の取り組み: プエルトリコ卓球連盟は近年、若手の育成と強化に注力しています。その中心にあるのがディアス一家です。ディアス三姉妹(アドリアナ、メラニー、ファビオラ)と従兄弟のアファナドールは皆、父ブラディミル氏の指導する卓球クラブから育ちましたittf.com。家族ぐるみで卓球に取り組む「卓球一家」の物語は国民にも知られ、彼らの成功が卓球の知名度向上につながっていますittf.com。
キューバ(Cuba)男子38位・女子30位
- 人口:約1,126万人
- 面積:110,860km²(日本の約3/10)
- 首都:ハバナ
- 言語:スペイン語
- 宗教:キリスト教(カトリック)、無宗教も多い
キューバもまた、男女ともにハイレベルな実力を誇る強豪国。アンディ・ペレイラ、ホルヘ・カンポスのコンビはパンアメリカン大会でも金メダル獲得経験があり、女子も若手ダニエラ・フォンセカらが台頭中。国全体でのスポーツ強化政策も功を奏しており、地域王者の一角を守っています。
ドミニカ共和国(Dominican Republic)男子66位・女子64位
- 人口:約1,141万人
- 面積:48,671km²(日本の約1/6)
- 首都:サントドミンゴ
- 言語:スペイン語
- 宗教:キリスト教(カトリック、プロテスタント)
中国系選手の活躍が目立ち、男子のウー・ジャージ選手は2019年パンアメリカン大会で銀メダルを獲得。女子のエバ・ブリト選手もカリブ選手権で複数回優勝し、地域トップクラスの技術を誇ります。プエルトリコやキューバと並ぶ、カリブ卓球の「御三家」と言える存在です。
ウー・ジャージ(Wu Jiaji) – 中国出身で2014年にドミニカに帰化した男子選手。2019年パンアメリン大会男子シングルス銀メダルen.wikipedia.orgという輝かしい実績を持ち、当時世界ランク100位前後まで上昇しました。
ウー・シュエ(Wu Xue) – 1980年生まれの中国出身帰化選手で、2010年代前半までドミニカ女子をけん引しました。2011年パンアメリカン競技大会女子団体金メダリストであり、シングルスでも銀メダル(2003・2007・2011年)を複数回獲得した実績がありますen.wikipedia.org。
エバ・ブリト(Eva Brito) – ドミニカ女子の主力選手。カリブ選手権や中央アメリカ・カリブ海大会で数々のメダルを獲得。特に2022年カリブ選手権では女子シングルス優勝を果たしたと報じられ、長年トップを走ってきたベテランのウー・シュエ(後述)の後継として台頭しました。
ガイアナ(Guyana)男子87位・女子80位
- 人口:約79万人
- 面積:214,969km²(日本の約6割)
- 首都:ジョージタウン
- 言語:英語
- 宗教:キリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教
英語圏南米に位置するガイアナは、島国ではありませんが、地理的にも文化的にもカリブに強く関係しています。男女ともに団体で世界ランキングを保有しており、カリブ選手権や中南米大会に定期的に出場。特に女子選手の台頭が近年目立っています。
トリニダード・トバゴ(Trinidad and Tobago)男子101位・女子80位
- 人口:約155万人
- 面積:5,128km²(日本の約1/70)
- 首都:ポートオブスペイン
- 言語:英語
- 宗教:キリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教
レジェンド選手デクスター・セントルイスの功績を引き継ぎ、現在は女子のレアン・チュン選手が国際舞台で活躍。国内では若手選手の育成にも力を入れており、将来的に再び表彰台を狙えるポテンシャルを持つ国です。
デクスター・セントルイス(Dexter St. Louis) – 故人ですが、T&T卓球史で欠かせない男子選手です。1990年代から活躍し、1996年アトランタ五輪と2008年北京五輪に出場olympedia.org。カリブ選手権でも複数回優勝しttoc.org、晩年までトップを維持しました。2019年に51歳で逝去ittf.com。彼の存在は若手選手の目標であり、地域からも「カリブ卓球の礎を築いた」として追悼されましたittf.com。
レアン・チュン(Rheann Chung) – トリニダード・トバゴ女子のレジェンド的存在。フランス在住で欧州リーグでもプレーし、カリブ選手権女子シングルス5回優勝の記録を持ちますguardian.co.tt。、2014年のラテンアメリカ競技大会では女子シングルス銅メダルを獲得guardian.co.tt。
バルバドス(Barbados)男子101位・女子89位
- 人口:約28万人
- 面積:430km²(日本の約1/882)
- 首都:ブリッジタウン
- 言語:英語
- 宗教:キリスト教(主にプロテスタント)
小規模ながら卓球普及活動が活発な国。国内リーグや学校プログラムが整っており、ジュニア世代の国際大会出場も増加中。男女とも世界ランクに名を連ねており、今後の成長に期待がかかります。
アルバ(Aruba)男子109位・女子なし
- 人口:約11万人
- 面積:180km²(日本の約1/2,100)
- 首都:オラニエスタッド
- 言語:オランダ語、パピアメント語(英語、スペイン語も広く使用)
- 宗教:キリスト教(カトリック)
オランダ領カリブの自治領でありながら、カリブ卓球連盟に加盟。国際大会出場は限られるものの、地域大会では継続的に参加しており、選手の育成環境も徐々に整備されてきています。
(※外務省ページなし)
セントルシア(Saint Lucia)男子109位・女子なし
- 人口:約18万人
- 面積:616km²(日本の約1/616)
- 首都:カストリーズ
- 言語:英語(クレオール語も使用)
- 宗教:キリスト教(カトリック、プロテスタント)
カリブユース選手権などへの参加経験があり、学校での卓球導入など普及活動が進む国。団体戦では経験不足が否めませんが、今後のジュニア強化に注目が集まります。
ジャマイカ(Jamaica)男子109位・女子なし
- 人口:約296万人
- 面積:10,991km²(日本の約1/33)
- 首都:キングストン
- 言語:英語(ジャマイカ・パトワも広く話される)
- 宗教:キリスト教(プロテスタント中心)
サイモン・トムリンソン選手を中心に男子代表が国際経験を積んでいます。カリブユース世代では6つのメダル獲得(2023年)など、育成世代の活躍が今後に期待を持たせます。英語圏カリブの中では特に発信力があり、競技人口拡大に力を入れています。
セントビンセント・グレナディーン(St. Vincent and the Grenadines)男子なし・女子118位
- 人口:約11万人
- 面積:389km²(日本の約1/1,000)
- 首都:キングスタウン
- 言語:英語
- 宗教:キリスト教(主にプロテスタント)
参加は不定期ながら、世界ランクに名を連ねている貴重な存在。小国ながらも、地域大会には積極的にエントリーしており、経験を積み重ねています。今後はユース世代からの育成強化がカギです。
まとめ
各国とも、国の規模は小さいものの、地域大会やユース世代の育成を通じて着実に卓球のレベルを上げてきています。今後も国際大会での活躍が期待されるカリブ諸国から目が離せません。
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